クリスマスマーケット
最近電子書籍を利用するようになった。
散々紙派と息巻いていたが、シリーズを揃えたのにかさばらないというのがどんなにありがたいかと気づいてしまった。よほど現物に拘る以外は電子書籍に頼っている。
長雨が続き出掛けるのも億劫な日が続く。おのずと電子書籍ストアをぶらりと巡ってしまうのはしょうがない。
広々とした店内を物色しながら牛歩で巡る楽しさはないが、さくっとお手軽に試し読みが出来るのはありがたい。
『ねこと私とドイッチュラント』著:ながらりょうこ
グルメ漫画というものに目がない。
とくに自分が触れた事のない料理を紹介する漫画が好きだ。
この作品はドイツに住む作者の体験談を織り交ぜながら、ドイツの家庭料理や馴染みのグルメやスイーツを紹介する漫画だ。
これはグルメ紹介に加え国の慣習や風習を丁寧に織り交ぜながら描かれており、あちらの常識を知らなくても抵抗なく読めた。柔らかいタッチのドイツの風景は本物を知らずとも、日本の四季とは違った温度感をありありと感じさせるかなりの良作だった。
なかでも作中2巻はクリスマスマーケットクローズアップしているのだが、これがまた良い。
ホットワインに生クリーム入りのココア、ジンジャークッキーがぶら下がった屋台。
寒い夜空の元あったかいココアを飲みながらライトアップされたツリーを眺めるのを想像するだけで今が夏なのが悔しくなる。なぜ12月じゃない。
クリスマス特有のキラキラとした感じ最高、季節行事はクリスマスがやっぱり好きだ。
話の中に人語が喋れる主人公の同居猫がいる。むぎくん。
むぎくんが主人公のトーコちゃんに日頃の感謝を伝えるため、お小遣いでツリーのオーナメントを買うシーンがある。ソリに乗った雪だるまの小さな飾り。
かわいいがすぎる。
暗闇の中明々と照らされた屋台を覗き回って、キラキラとオレンジの光を反射するツリーのオーナメントを見つける。きっと朝に見れば不出来なおもちゃだろう。
だがむぎくんにとっては2人で行った初めての場所を形に残したい、トーコちゃんにとってはその優しさが大事な思い出になるのだろう。めちゃくちゃ良い
旅行に罪悪感を抱かせる時代に、ほっと楽しめる素敵な作品だった。
ドイツのクリスマスマーケット行ってみたいね〜。